
- 津木 陽一郎
- 当事務所が掲げる経営理念は「笑顔ファースト」になります。
当事務所に事件をお預けして下さったすべての方々が、笑顔でいられるように当事務所のスタッフは全力を尽くします。
訴訟案件については勿論のことですが、そこまでに至らない小さなお困りごとについてもお気軽にご相談ください。皆様の笑顔を目標に精一杯のサポートをさせて頂きます。
会社に対する損害賠償請求とは
会社に対して損害賠償が可能なケースについて
①労災事故の二つのパターン
業務中に生じた労災事故は、大きく分けて、「他の従業員の不注意によって怪我をした場合」と、「自分一人で作業中に怪我をした場合」に分かれます。
「他の従業員の不注意によって怪我をした場合」とは、例えば、他の従業員がフォークリフトで作業をしていたところ、被害者の存在に気付かずに、フォークリフトで被害者を轢いてしまった場合、他の従業員がうっかり上から物を落としてしまい、下にいた被害者に当たって怪我をしてしまった場合など、第三者の不注意が直接の原因で労災事故が発生し負傷してしまった場合です。
「自分一人で作業中に怪我をした場合」とは、例えば、プレス機で作業中に誤って手を挟んでしまったり、建設現場で足場の移動中に落下したりする場合などです。
②他の従業員の不注意によって怪我をした場合
「他の従業員の不注意によって怪我をした場合」であれば、比較的容易に会社に対して損害賠償請求が可能です。
「他の従業員に不注意によって怪我をした場合」、まずは、その従業員に対して不法行為(民法709条)に基づく損害賠償請求が可能です。
そして、会社は、ある従業員が作業中に不注意によって別の従業員(被災者)に怪我をさせてしまった場合、会社も使用者責任(民法715条)に基づいて、被災者者に対して賠償責任を負うのが原則になります。
そのため、「他の従業員の不注意によって怪我をした場合」は使用者責任に基づいて会社に対して損害賠償を請求して行くことになりますし、当事務所の経験上、比較的、会社も話し合いの段階から責任を認めることが多いです。
なお、従前は、消滅時効について、使用者責任(民法715条)に基づく請求の場合は3年、雇用契約に基づく安全配慮義務違反よる損害賠償請求の場合は10年とされ、消滅時効の点で差異がありましたが、2020年4月の民法改正により、人の生命または身体の侵害による損害賠償請求権は、通常、被災日から5年とされましたので、消滅時効についての差異はなくなったと言えます。
③自分一人で作業中に怪我をした場合
「自分一人で作業中に怪我をした場合」も、会社に対して、会社自体の不法行為によるか、雇用契約上の義務違反によるかは、別として、安全配慮義務違反による損害賠償請求ができるかどうかを検討することになります。
「自分一人で作業中に怪我をした場合」は、「他の従業員の不注意によって怪我をした場合」と比べると、あなたの請求に対して、会社が「(あなた)自らが招いた事故であるため、会社には責任がない」と請求を拒否するケースが多いと言えます。
では、どのような場合に、会社に対して安全配慮義務違反に基づく責任を問うことができるのでしょうか。
安全配慮義務は、業種、作業内容、作業環境、被災者の地位や経験、当時の技術水準など様々な要素を総合的に考慮してその内容が決まります。
そのため、具体的な被災状況をお伺いしてからでないと、会社に対して安全配慮義務違反を問うことができるかどうかは、明確な答えを出すことが難しいと言わざるを得ません。
もっとも、当事務所の経験上、概括的に言えば、「安全教育不足が原因で被災した」場合や、「会社の管理支配する場所で、会社から提供された機械や道具が原因で被災した」場合には、(被災者の過失も認められてしまいますが、)安全配慮義務違反を問いやすいと言えます。実際に、当事務所で扱った事案でも、被災者が、屋根に乗っての作業中に、転落防止のカラビナ(止め具)をせずに作業していたために、転倒・墜落して死亡してしまった事案で(カラビナをしていれば墜落しなかったといえる事案)、会社の安全教育不足を原因に、安全配慮義務違反を認めたケースがありました(但し、被災者の過失3割)。
さらに具体的に言えば、労働者の安全対策として「労働安全衛生法」と「労働安全衛生規則」が定められておりますが、その条文に違反するような状況下で事故が起きたのであれば、安全配慮義務違反を問いやすい傾向にあると言えます。
安全配慮義務の内容は、ケースバイケースと言えますが、近年では、従業員の安全教育の強化が義務付けられており、安全教育不足を原因とする安全配慮義務違反は認められやすい傾向にあると言えるのではないかと感じております。
一方、例えば、会社の工場で階段を下りている時に滑って転倒したというケースでは、会社に対して安全配慮義務違反を問うことは困難な場合もあります(但し、業務中の事故であれば、労災は適用されます)。
なお、重大事故で労働基準監督署が災害調査を行い、その結果、法令違反があるとして是正勧告などを会社が受けた場合や、警察・検察が捜査をして会社や担当者が刑事処分を受けた場合は、会社に対して安全配慮義務違反を問うことが可能なことも多くなります。
会社に対して安全配慮義務違反を問えるかどうか、またそもそも会社への請求を迷っている方は、一度、当事務所にご相談ください。
具体的な手続き
会社に対して損害賠償請求が可能だと判断した場合、まずは資料を集めていただくことになります。
まずは、事故状況が分かる写真等の資料があればとても助かりますが、事故状況がわかる書類が手元にない場合には仕方ありません。
次に、労災関係の資料を取り寄せていただくことになります。
労災申請のために提出した資料や労災にて決定した内容の資料については、当該労働基準監督署を管轄する「労働局」において、「保有個人情報公開請求」という制度に基づいてコピーを入手することが可能です。なお、労災関係の資料の入手には、申請してから1月ほどかかります。
こうした資料をもとに、事故状況と認定された後遺障害の内容を判断し、損害賠償請求額を計算します。その上で、会社に対して、内容証明郵便で損害賠償請求を内容とした通知書を送付します。
その後、会社と交渉を行い、交渉が成立すれば、示談書を作成し、示談金(解決金)を支払ってもらいます。交渉を重ねても話し合いでは解決できない場合には、損害賠償請求訴訟を提起することとなります。
初回
相談料0円
- 労働災害の無料相談
- 0120-955-262
- 平日9:30~17:30
